これまで書いたブログの中で、一番多く読まれていた内容で、これに対しての質問やアドバイスなどの電話が今でも全国から月1~2回あります。
2019.4.1から新ホームページに切り替わるので、wixブログにも要点を整理して再掲します。
少し長文ですが、ご覧ください。
あくまで、一般的なケースです。
旅行企画をした時、次の3つの行為がすべて該当する場合は、旅行業法に抵触しますので、
旅行業登録をしているもの(一般的には旅行会社など)しか実施できません。
しかし、3つの行為のうち、1つでも該当しない場合は、旅行業登録をしていない団体など
でも実施することができます。
①報酬を得る。(交通費や宿泊代を含む参加費を受け取る。)
②一定の行為をする。(交通機関手配や宿泊手配をする。)
③事業である。(不特定多数を募集をする。)
具体例をいくつか掲載します。
前提として、A団体は旅行業登録をしていない団体とします。
事例①
A団体は、ハイキングを企画しました。
Y駅に集合して、徒歩で神社に行き、拝観料を払って見学をし、帰りは神社近くの
バス停から路線バスを利用してY駅に戻り解散するコースです。
募集対象者は、一般(不特定多数)の方30名で、参加費は800円(内訳:路線バス代
300円と拝観料・資料代・保険代で500円)です。
この募集要項で実施する場合は、①報酬を得る(交通費を含んだ参加費800円を
もらう。)②一定の行為をする。(路線バスに乗るという交通手配をしている。)
③事業である。(不特定多数を募集している。)の3要件すべてに該当しますので、
旅行業登録をしているもの(旅行会社)が主催でないと実施できません。
しかし、A団体が主催で実施できる方法があります。
それは、3要件のうち、1要件の行為を除外させる方法です。
手法として「報酬を得る」行為で、参加費800円を500円(内訳:拝観料・資料代・
保険代)に変更し、募集要項に「ただし、路線バス代300円は、別途、自己負担」と
表記します。
このようにすると、「報酬を得る」という行為(参加費)に、交通費のバス代が
含まれていませんので、1要件が除外され、旅行業法に抵触することなく、
A団体が主催で実施できます。
実務としても、A団体が参加者から参加費500円のみを集め、路線バス代の300円は、
参加者がバス利用時に運転手に直接支払ってもらえれば良いのです。
事例②
A団体は、日帰りバス旅行を企画し、バス代と昼食代、観光代・保険代など合わせて、
参加費5000円としました。
バスは「観光バス(緑ナンバーの営業車)」を利用し、募集対象者は一般者
(不特定多数)40名です。
この場合は、①報酬を得る(交通機関を含めた)②一定の行為をする(バスの
手配をする)③事業である(不特定多数を募集する)の3要件を満たしていますので、
旅行業登録をしているもの(旅行会社など)が主催でないと実施できません。
実務としても、参加の応募先は旅行会社で、旅行会社に参加費を支払います。
事例③
A団体は、事例②と同様のバス旅行を企画しました。
事例②との違いは、募集対象者を「A団体の会員」40名としたことです。
なお、募集方法として、募集ビラを作成したり「SNS」も利用することにしました。
この場合は、A団体の会員を対象にしており、不特定多数の一般は募集していない
ので、「事業である」行為が除外され、旅行業法に抵触せず、A団体が主催者と
なって実施できます。
また、募集方法の実務ですが、本来なら会員さんだけにビラなど作成して周知すれば
良いのですが、広くビラやSNSで周知する場合(一般の方も目につく手法の場合)、
募集欄に「参加対象者はA団体会員に限る」という表現を記載しておく方が無難です。
(一般募集をしていると誤解され、旅行業法に抵触していると思われることがある
からです。)
なお、A団体の実務は2パターンあります。
①A団体の幹事さんや事務局が、募集からバスの手配や昼食手配などをすべて
行い、参加費もA団体が集め、増減員調整や各所への支払いまですべて
実施する方法。(幹事さんがたいへんです。)
②A団体が旅行会社に依頼し、募集と参加費の集金はA団体が実施する。
バスや昼食などの各種手配や増減員調整は旅行会社が実施し、A団体は旅行
代金の支払は旅行会社に支払う方法。(旅行会社へ事務手数料的な経費が
必要ですが、幹事さんや事務局の負担が軽減されます。)
以上が良くある問い合わせで、旅行業登録をしていない団体などから、
「何とか主催で実施できないか」という質問や、サークルや団体などから
「会員拡大のために、一般者を募集したい。」という質問があり、その都度、
回答させていただいております。(最終的には、「旅行会社にまかせたら」と
アドバイスしていますが・・・)
ところで、旅行業法とは関係なく、「道路運送法」に抵触する行為が、時々
見受けられます。
それは、「マイクロバスのレンタカー」を利用したケースです。
このバスはナンバープレートが「白色」のバスです。(観光バスは「緑色」の
営業車です。)
旅行会社は、「マイクロバスのレンタカー」を利用した企画は絶対しませんし、
すれば違法になります。
例えば、A団体や個人がマイクロバスのレンタカーを利用して日帰り旅行を
企画し、参加費3000円、一般者20名を募集したとします。
参加費3000円の内訳は、バス代・昼食代・保険代です。
この場合は、マイクロバスのレンタカーを使用し、参加費を集め、一般募集を
している行為自体が「白バス」営業行為となり、道路運送法に抵触します。
仮に、参加対象者を「A団体の会員」に限定し、参加費を5000円(バス代・
昼食代・保険代)とした場合でも、参加費の内訳に、バスに関係する経費
(バス借り上げ代、運転手への謝礼、燃料代など)が含まれている場合、
同様に道路運送法に抵触します。
そこで、道路運送法に抵触しないで、正しいマイクロバスのレンタカーを
利用するケースをまとめます。
①参加対象者は「A団体の会員」で募集した方が無難です。
(会員外の人からは、バス関係費が集金できず、不公平感が生じるからです。)
②参加費は、バス関係費以外の「昼食代・宿泊代・保険代等」だけにしてください。
(実務として、参加費の内訳に「マイクロバスに対する経費」の記載がなくても、
実際、参加費の一部からバス関係費を支出していることが判明すれば、
道路運送法に抵触しますので注意してください。)
③バス関係費(バス借り上げ代、運転手への謝金、燃料代)は、A団体の本体予算
から全額を支出してください。(参加費に、バス関係費を含めてはいけません。)
正しい利用方法の一例として、会社の福利厚生としての慰安旅行で、マイクロバスの
レンタカーを利用する場合です。
バス関係費は、事前に「福利厚生事業」として予算化されていると思いますので、
ここからバス関係費の全額を支出し、参加者からはバス関係費以外の昼食代や
宿泊代などを負担してもらうことです。
なお、マイクロバスのレンタカーを利用して、万一、事故を起こした場合、
「運転手」さん個人に責任がかかるという大きなリスクがあります。
そのため、旅行会社の立場からすると、観光バス会社のバス(小型から大型まで
いろいろあります)を利用した方が安全、安心して利用できます。
マイクロバスのレンタカー利用は十分注意してください。

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