従来からの旅行は、そこに住む人を遠くの観光地に旅行してもらう「発地型旅行」が基本で、今でも、ほとんどの旅行会社はこれが主な業務です。
それが、10数年前から逆の発想にもなり、遠方や近隣に住んでいる人を地元に来てもらう旅行も促進しようと、地元やそこで営業する旅行会社などが主になって実施する旅行のことで、これを「着地型旅行」と言います。
「着地型旅行」は、従来からの有名な観光地とともに、新たな観光地づくりをして、地域経
済の活性化につなげようと、国、県をはじめ旅行団体も躍起になっています。
少し難しく言えば、地域の「観光資源」に磨きをかけて、魅力のある「観光地」にしようと
いうことです。
実は、当社も開業当初は、「着地型旅行」を積極的に実施し、住んでいる地元に観光客を
誘客し、少しでも地元に貢献しようと考え、いろんなツアーを実施していました。
でも、現実的に解かったことが4点あります。(理想と現実の違いで机上の空論でした。)
1点目は観光地でもない、ほとんど無名な地域の観光資源で誘客するには、よほど魅力的な
企画する必要があり、その効果が見えるまで時間がかかること。
2点目は自社独自で実施するのではなく、行政や観光関係団体と連携して経費も含め役割分担をしながら実施した方が良い。
3点目は主催する旅行会社は、営業している地域や周辺市町の観光資源を知るための努力を
して、それに関わる人たちと日頃から人脈をつくっておくこと。
4点目は、旅行会社を継続的に存続させるには、従来からの「発地型旅行」を主な業務とし、「着地型旅行」は、資金的に余裕がある会社や、上記の1点目~3点目の課題が解決
できるなら実施可能だが、「着地型旅行」だけの旅行会社は採算がとれない。
これらの課題や問題点を含め、事例をあげて説明します。
例えばハイキングやバスツアーを代表1名、社員1名、合計2名の旅行会社がすべてを実施し
ようとしたケースです。
まず、着地型旅行は、受け入れ施設などに人数制限などかあり、1回あたりの実施人数は多くても20人程度です。
旅行の企画には、「見る・食べる・遊ぶ・体験する」というすべての内容が含まれている
ことが必要ですが、それを発見し、内容を関係者と協議するのに莫大に時間と労力が必要で
す。
そして、企画したツアーを募集(募集型企画旅行)するのに、広告宣伝代が必要で、これが
結構高額で1回の掲載で10万~15万円必要です。
20名の定員募集なら、3~4回分の実施日をあらかじめ設定して募集しないと、一人あたりの広告代が、かなり割高になります。
募集型企画旅行の課題は、最少催行人数が集まらなかった場合、宣伝広告代が無駄になり、その旅行は赤字になります。だから、効果的な募集方法や募集経費の支援、関係団体との連
携して募集できるしくみが必要です。
それと、旅行代金の設定も大切です。
日帰りバス旅行なら、大手の格安旅行会社が、かなりお得感のある「発地型旅行」を実施し
ていますが、10000円程度で、観光客も相場を知っています。
だから、「着地型旅行」でも約10000円の壁があり、いろんな企画を盛り込み過ぎると、
すぐに10000円を超えてしまいます。
さらに、実施に2名以外の協力者が必要なら、その人件費(お礼)も必要です。
以上の事例のとおり、現状は、旅行会社が独自に「着地型旅行」を主催しても、「赤字」に
なる確率が高く、たとえ利益があったとしても、利益率は非常に低いということです。
まとめると、従来から旅行会社が実施していないのは、募集のリスクをはじめ採算面や利益
率であまり魅力がなく、かつ、地域貢献の必要性は認識しているものの、観光関係団体や地域の人との交流や連携が少ないのも原因だと考えています。
ところで、最近、地域の一般社団や公益社団など法人格を持つ「観光協会」などが、旅行業登録をするケースがあります。
現状を続けるなら、「着地型旅行」は、このような組織が積極的に実施した方が現実的だと
思います。
しかし、「旅行業登録している、していない」にかかわらず、私は、みんなで「着地型旅
行」で地域経済を盛り上げるなら、今一度、地域の旅行会社、観光関係団体、受入施設など
も含めて意見交換して、それぞれが持っているノウハウや役割分担を確認し、みんなで盛り
上げられないかと考えています。(これこそが民間活力の利用だと思います。)
次回のブログは、「着地型旅行」を活性化させるためのアイデアを書いてみます。
ここで、お得な情報を一つ。
なお、当社ホームページのトップの「大人のええもんツアー」をご覧ください。
3月7日(日)に、野洲市内を巡るバスツアーを募集中。(着地型旅行です。)
同情するなら参加してね!!!!

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